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既存の「空間形式」とつくる枠組
戦後の復興期に誕生した「n-LDKプラン」は大量生産、大量消費の論理に基づいたマーケティングと、高度成長時代に典型的とされた4人家族をターゲットにすることによって、これほどの普及、発展を遂げたと考えられます。しかし、家族形態や消費の動向、さらにはライフスタイルも著しく進化し、多様化した現在に至っては、ほとんど機能していないと言って良いでしょう。意味のない壁、使えない間取りが機能もデザインまでもが硬直化した空間をつくり出しているのです。 ワンルームタイプの住宅形式はフレキシビリティーに富んでいますが、可能なライフスタイルを限定します。日本の都市部における土地事情や、通 常n-LDKプランのLDK部分を大きくするだけで、本質的にライフスタイルを変えずに対応しようとするため、建設コスト的にもリアリティーが見いだせず、大多数の購買層にとってトレンディードラマのセットの中でしか見出し得ない幻想の空間であると言えます。

住宅産業は素材、資材、住設機器分野における工業化、プレハブ工法による躯体(構造体)の工業化等、そのほとんどを工場生産化することで合理化を進めています。しかし、あまりにも高度工業化しすぎたこと、またその自社製品や自社工法による制限が、要求の変化に即座に対応できない要因になっています。 建築家の生み出す住宅はそれぞれの住宅固有の問題を先鋭的に解決しているものが多いのですが、一種の特殊解であることは否めず、また住宅を作品として捉えているため表現過多な空間に陥りやすいのです。また全ての人が建築家に巡り会え、かつ同じ土壌で話し合え、自らの要求を正確に示し得る訳でもなく、住宅を求める大半の人にリアリティーがありません。
a-1 フレシキブルなプラン実現への2つの手法
F.O.Bスケルトンの開発にむけて


フレキシビリティーの再定義
建築においてフレキシビリティーとは、均質な空間をパーティションで自由に区切れるといったハードな「構造上の自由度」を空間のフレキシビリティーとしてきましたが、現実的に空間を使う側の視点から見た空間の自由度とは、どれだけのストックルームがあるか、「自由に物を出し入れできるか」に関わっています。また、モダニズム初期の100年前に比べ、我々の生活は雑多な「もの」で溢れています。生活積載量 の増大とゆう実情に対し目をつむっているのです。生活空間と倉庫とを主/従の関係として捉えるのではなく「等価」に捉える視点の導入が必要なのです。

ドミノ空間の再解釈
住宅産業のほとんどが、壁式構造、ドウブチ構造、ツーバイフォー等、外壁や間仕切壁を使って耐力壁を確保する構造を採用しています。これは工場生産ラインにおいて、仕上材と一体化したパネルシステムとして、規格化しやすいという利点があるのですが、間取りや開口面 積に大きな制約が伴います。大空間ををつくること、内部空間の可変性等を前提に考えるならば、柱梁の基本フレームによって構成される、ラーメン構造を基本にした空間構造体が必要なのです。再びモダニズム初期に捉えられた空間構造である「ドミノ」にもどることが肝要であると考えます。

 

a-2. 新しい生活容器の開発
フレキシビリティーの新しい定義をうけて
「距離」による空間区分→「F.O.Bスケルトンの提案」

多様なライフスタイルを許容する新しいフレキシビリティーに対応した空間プロトタイプ、F.O.Bスケルトンを提案します。生活空間は住み手のライフスタイルによって多様な使われ方をします。また住宅を耐久消費財ではなく50〜100年とロングスパンの使用に耐えることを仮定すれば、生活はそれぞれの世代、時間によって激しく変化を迫られます。海外の住宅と違って限られた面 積での時間的変化を生活の中に組み入れていくためには、「雑居性の高いワンルームプラン」を中心に考えざるを得ません。その場合の新しい空間の意味づけ、分割法を“距離”という評価軸で考え、また空間の豊かさの評価を「m2/部屋数」の多寡ではなく、どれだけの空間ヴォリュームがあり、1つの空間をどれだけ多重利用可能か、いわば「m2/雑居率」に置き換える必要があるのです。

 

 

 

b. F.O.B COOPによる適切なセレクション
「つくる」のではなく「えらぶ」→F.O.Bセレクション

今、住宅は過剰設備、素材過多、そして雑多すぎるデザインにまみれています。それはF.O.B COOPが「雑貨」を手掛けたとき、日本の住設製品がマーケティングと称して、画一的に設定した女性像に媚びて、「花柄プリントのポット」や「ピンク色の洗濯機」のデザインバリエーションを付加して消費世界へ投入していた状況に遅ればせながら陥っています。F.O.B COOPが「快適」「コンテンポラリー」「適切なプライス」をテーマに住関連用品に対して問題を提起してきた視線は、住宅そのものにも有効に働き得るでしょう。F.O.B HOMESにとって「雑貨」で培われた目と収集力は、大きな武器の1つです。世界中からよりよく適切なデザインとクオリティーの住素材、住機器を供給してゆきます。

 

 

 

c. 新しい日本住空間の美を開発
シンプル・クリーン・シック :
再びMADE IN JAPAN 日本の「きれい」から考える

F.O.B HOMESは住空間を考えるとき、「清潔感」が重要であると考えています。F.O.B COOPがヨーロッパから選んできた雑貨は、いわば「シンプル・シック」。今、日本の風土と環境に建ち、その関係にウエイトがかかる「住居」を考えるとき、我々は一歩進んで「シンプル・クリーン・シック」を提案します。振り返ってみれば、日本はその風土の中で独自の「清らかさ」に立脚する美学をうちたてています。その住空間の美のあり方は、現代の日本の住宅に反映されておらず、高断熱の締め切った箱、科学塗料で塗り固められた建材に代表される、日本の風土に合わない借り物の「清潔感」に溢れています。コンテンポラリーな生活の中での日本的「清潔」感覚の再定義を通 して、新たな「MADE IN JAPAN」を生み出したいと考えています。また、それは掃除やメンテナンスなど「使い方」にもかかわることでもあり、「一度つくればノーケアー」的な家への態度について住み手と共に考えてゆくことにもつながります。

 

d. 日本の宅地造成に対処した「建ち方」の考案、
そして「サイト」の開発へ

1.「建ち方」
「効率」から導かれる日本の宅地造成のあり方は全国どこでも大差ありません。そのことが貧困な日本の郊外を形成していますが、住環境の貧困さはその区画の少ない面 積や無味乾燥な区割りだけから導かれているのではなく、住居の「建ち方」に多くを由来しています。日本の商品住宅のほとんどはアメリカの広大な宅地に建つ独立住居のイメージを自らの条件を考慮せず、乱暴に移植しており、「リビングの大きな南面 開口を開ければ、隣のトイレの窓が見える。」といった滑稽な情景がいたるところに散見しています。ここでも家幻想、モダンな生活への幻想があたまをもたげています。

2.「サイト」
「建ち方」から一歩進んで「サイト」の開発を目指します。「効率」や「法規」「経済性」を考慮しても、まだまだ新しく、かつ豊かな独立住宅群は可能です。

 

 

 

e. 新しい「家」のつくりかた
F.O.B COOPによるディレクション→F.O.Bプロデュース

家づくりのありかたは、商品住宅のようにあり物の中から選ぶだけか、もしくは自分の「目」と「判断」で建築家を選び出し、工務店に発注するといった専門性を要する手法をとるかといった両極端にふれてしまいがちです。F.O.B HOMESは使う側の視点に立った空間提案に実績を積んできた、F.O.B COOPの目とディレクションの能力によって「建築家」「工務店」「施主」の間に立ち、それぞれの対話をコーディネイトしてゆきます。つくり手の一方的な発信から行われてきた家づくりを、コラボレイティブな円環状の対話スタイルをもった家づくりに変質し、それぞれのライフスタイルに即した空間構成の提案を目指します。 また、F.O.B COOPが生活への主義、主張をこめて「雑貨」をセレクトしてきたその姿勢は、住まいをつくる「コラボレーション」に対しても発揮されます。住み手の際限ない要請を鵜呑みにする御用聞きのようなスタンスからも、また逆につくり手の専門家的で独善的な押しつけからも距離を置くことが、現実への「適切な」対応を見出すことにつながり、住み手にとって良い結果 を生み出すことを数々の店づくり、空間づくりを通して体験してきました。いくつかのモデルプランを提示し、我々の住まいに対する感性への共鳴を土台に、家づくりを進めてゆこうとしています。 また、F.O.Bプロデュースは家づくりの「ソフト化」を進めます。今まで、家をつくり、売るために住宅産業が積み上げてきた莫大な設備投資、開発費、宣伝広告費、営業経費等々は、我々の目から見ると、住み手には還元され得ない余計なものにうつります。(ある住宅産業の商品住宅は価格の約45%が家づくりに直接関係のない「経費」です。)F.O.Bプロデュースの「自らはもたず、家づくりの各フェーズをプロデュースしてゆく。」というスタンスが、不要な中間経費を削減することにつながり、F.O.B HOMESの空間性能の向上へと還元されてゆきます。 「適切な空間クオリティー」と「適切なプライス」、F.O.B プロデュースが目論む住宅産業への挑戦です。

 

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